渋沢栄一の銅像

25.05.10

東京・大手町、日本橋川沿いに位置する「常盤橋公園」。
都心の再開発エリアの一角にありながら、ここには静かに歴史を物語る存在がたたずんでいます。
それが、“日本資本主義の父”渋沢栄一の銅像です。

この銅像は、都内に3体ある渋沢栄一像のひとつで、彼が設立に関与した第一国立銀行(現・みずほ銀行)や東京証券取引所が近くにあったことから、経済の中心地にふさわしい場所として建立されました。

渋沢栄一は、明治・大正・昭和初期にかけて、なんと500社以上の企業の設立・支援に関与した偉人です。
第一国立銀行、東京商工会議所(2018年に創立140周年)、東京証券取引所、東京ガス、帝国ホテル、キリンビールなど、今も日本を支える名だたる企業が彼の理念のもとに育ちました。

しかし、この銅像にも時代の波が押し寄せました。太平洋戦争中、金属供出政策により一度撤去されてしまったのです。
けれど、その偉業を惜しむ多くの声により、昭和30年(1955年)に再建。今では、変わりゆく東京の中で、変わらぬ姿で街を見守り続けています。

スーツ姿で穏やかな眼差しをたたえる渋沢の像は、訪れる人々に静かな敬意と勇気を与える存在。
常盤橋公園は、再開発が進むなかでも、こうした“人の志”を受け継ぐ場所として今も大切に守られています。

神田や日本橋エリアを歩く際は、ぜひこの公園にも足をのばし、近代日本の礎を築いた偉人と出会ってみてください。