日本銀行本店本館

25.05.10

東京・日本橋に佇む「日本銀行本店本館」は、明治日本の近代化とともに歩んできた、歴史的・建築的価値の高い建物です。

設計を手がけたのは、東京駅丸の内駅舎で知られる建築家辰野金吾(たつの・きんご)。
彼は、英国仕込みの建築理論と日本の伝統を融合させた“辰野式”と呼ばれるスタイルで知られ、明治建築の象徴的存在でもあります。

本館は1896年(明治29年)竣工。石造りによるルネサンス様式のデザインは、対称性と堅牢さを備え、国家の信頼と重みを体現した建築となりました。
この建物は後に国の重要文化財に指定され、さらに「東京の建築遺産50選」にも選ばれています。

経済の中心地にふさわしく、荘厳かつ格式ある佇まいを今も保ち続けています。
また、戦時中には一部の金属装飾が供出されたものの、建物自体は奇跡的に保存され、戦後も引き続き日本経済の心臓部としての役割を果たしています。
日本銀行本店本館は、単なる金融機関の施設ではなく、『明治期の建築技術と美意識、そして国家運営に携わる人々の思想が刻まれた“生きた文化財”』ともいえる存在です。

事前予約をすれば内部見学も可能で、当時の雰囲気をそのままに感じられる貴重な体験ができます。
静謐で重厚な空間に身を置きながら、近代日本の歩みとその原動力となった人々の志にふれる時間を、ぜひお楽しみください。